納税管理人/常任代理人サービス
納税管理人とは
個人あるいは法人の納税者が海外に居住し日本に住所を持たない場合にその代理人として納税に関する事務を処理する者の事です。
納税管理人が必要となるケースは?
- 日本から帰国の予定または帰国した方で、所得税・住民税等の税金還付を受けたい方
※年金の払い戻し請求する場合は、後日年金所得税の還付を受けるため、日本から帰国前に納税管理人を選任する必要があります。詳細は以下のリンクをご参照ください。
http://www.pg-taxrefund.co.jp/pensionrefund/refund_request.html - 日本の不動産の賃貸・売却による収入があるケース
これらの収入は国内源泉所得となり、日本で確定申告をする必要があります。
・海外に移住、転勤あるいは帰国する場合 - 海外に居住していて相続税や贈与税が発生した場合
親が亡くなって財産の相続を受ける時や親から財産や金員の贈与を受けた場合 - 海外に居住していても住民税・固定資産税等の地方税の納税義務があります。
・固定資産税、都市計画税 個人か法人を問わず1月1日現在の不動産の所有者
・住民税 1月1日に日本に住所が有って一定額以上の所得が有った場合 - 株式等の売却による収入や日本から利子、配当、ロイヤリティなどを受け取ったケース
原則は居住地課税であっても一定条件にあてはまる場合は課税対象になります。
※租税条約によって免税となるケースもあります。 - 非居住者や外国法人(日本国内に本店支店)が消費税の納税義務者となる場合には、「消費税課税事業所届出書」と共に、消費税の納税申告書の提出などの消費税に関する事務を処理させるために納税管理人を選定して「消費税納税管理人届出書」を納税地を所轄する税務署に提出します。
- 出国税(国外転出時課税)の納税猶予を受ける場合
出国税は有価証券などの含み益に課税しますので、対象者に納税資金がない場合、納税を5年から10年猶予できる可能性があります。
非居住者も確定申告が必要なケース
居住者と非居住者の区分
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非居住者 | 非居住者以外の居住者 |
日本国籍が無くかつ過去10年以内に住所又は居所を有していた期間が5年以下である個人。次の2つに課税される。 1.国外源泉以外の所得 2.国外源泉所得のうち日本国内で支払われたもの |
上記以外の個人 ↓ 国内外を問わず全ての所得が課税対象となる。 |
※居住者の場合はさらに2つの区分に分けて考えます。居住者の国外の所得は、原則課税となり、非永住者かどうかによって取り扱いが変わります。居住者について課される所得税は全て総合課税(確定申告による)となります。
非居住者
「非居住者」は、日本における居住期間が1年未満の人、または生活の中心が国外にある人のことです。日本で仕事に就いているか、また日本に生計を一にする家族がいるかどうかを見ます。どちらにもあてはまらなければ「非居住者」となります。
※非居住者に確定申告が必要になるかについては、相手国との租税条約を確認する必要があります。
所得税法の区分 | 国内の所得 | 国外の所得 |
居住者 | 課税 | 原則、課税 ただし、租税条約が優先される |
非居住者 | 課税 | 課税なし |
※1 海外転出届を提出して日本の住民票が無くなっていても、日本に継続して1年以上滞在する場合は居住者になります。また、海外転出届を提出せず日本に住民票を残したままでも、海外に生活の実態がある場合は非居住者となります。(ただし、海外転出届の提出を怠った場合、日本に住んでいる時同様に、地方税の納税や国民年金、国民健康保険などの保険料支払いを求められる事になります。)
※2 非居住者の課税は、国内源泉所得に限定されていますが、恒久的施設(PE)の有無によって課税が違います。恒久的施設(PE)とは、支店、建設作業場、代理人の事です。
非居住者 | 恒久的施設あり | A 恒久的施設に関連した所得 | 確定申告が必要で、総合課税となる。 |
B 上記以外 | 上記と同様 | ||
恒久的施設なし | または、源泉徴収、源泉分離課税となる。 |
非居住者が不動産を賃貸したケース
A 原則貸主は、20.42%源泉徴収され確定申告時に清算します。
①借主が本人または親族などが居住用に借りたのであれば源泉徴収はされません。
※1 借主が法人であれば用途に関係なく源泉徴収されます。
※2 借主は源泉徴収した所得税は翌月10日までに税務署に納付します。
②貸主(非居住者)は、期限内に確定申告し税額から賃料にかかる源泉所得税を差し引いて申告します。
非居住者が国内不動産を譲渡したケース
不動産の売却金額を受領する時に源泉徴収され確定申告時に源泉所得税を清算します。
①売主(非居住者)は不動産の譲渡金額を受領する時は、所得税の源泉徴収(10.21%)されます。但し、譲渡金額が1億円以下かつ名義が本人またはその親族の住居用に購入したのであれば、源泉徴収されません。法人が買主であれば、源泉徴収されません。売主(非居住者)は確定申告を翌年に申告し、譲渡金額から取得費や経費を差し引いた税額から源泉税を差し引いて申告します。
Q&A
- Q1
- アメリカ国籍で日本の永住権(日本の非居住者)を取得した方が、アメリカの不動産を譲渡したケース
- A
- 日本での確定申告は不要です。
- Q2
- 日本の会社に勤務してた方が1年以上外国に勤務した場合
- A
- 不動産賃貸または譲渡した場合、確定申告が必要です。
- Q3
- 国内で勤務(源泉所得有り)した方が年の途中に海外に転勤したケース
- A
- 納税管理人を選定して確定申告が必要です。但し、所得が基礎控除を超える場合のみです。※雑損控除・寄付金控除・基礎控除のみできます。(非居住者はe-taxは不可)
※源泉徴収税額が納付税額を上回れば確定申告の必要はありませんが、申告して税の還付を受けることが可能です。 - Q4
- 海外居住の会社員が日本で仕事をする場合
- A
- 日本に住所(非居住者)がなければ、源泉所得に該当しません。
- Q5
- 非居住者になったら住民税は?
- A
- その年の1月1日時点で日本に居住していたら前年分の住民税の支払義務があります。
- Q6
- 海外転出届を提出したら住民税を払わなくても良いのか?
- A
- 住民票が除籍になるため、住民税は必要なし。
- Q7
- 非居住者も所得税の控除ができる?
- A
- 日本で働いた所得は、国内源泉所得に関しては課税対象となりますが、居住している国で課税される場合もあります。日本と租税条約を締結している場合、外国税額控除を適用すれば控除可能です。
- Q8
- 1年以内の海外滞在のケース
- A
- 外国に滞在する期間が1年未満の場合は、日本で住民税・所得税の支払い義務がありますが、日本以外の国では半年以上滞在すると居住者となる国が多い為、両方の国で居住者扱いになってしまいます。短期滞在者免税(183日ルール)を適用すれば、その国での所得税は課税されません。(但し国によっては適用ができないケースもあります。)
- Q9
- 会社員でほとんど海外に転々としている人は居住者又は非居住者か?
- A
- 家族が日本に居住していれば居住者です。
- Q10
- 海外赴任社員の自宅を社宅として借りる場合の問題は?
- A
- 会社が借主になる場合は、支払家賃の20.42%の源泉徴収が必要です。
常任代理人(Standing Proxy)
日本国外居住(非居住者)の投資家に代わって、各種権利等の行使する日本国内における代理人のことです。常任代理人が行う業務の範囲
- 証券会社/株式発行会社からの書類受取(株式優待含む)及び転送、お客様ご指定の国内住所に配送します。
- 株式会社における議決権の代理行使。但し、代理出席は致しません。(書面決議のみ)
- 証券会社/株式発行会社等の租税条約に関する書類の届出。
- 一般口座の管理。(非居住者のケースは、特定口座はありません。)
- NISA/新NISAについて
2019年度から最長5年の海外赴任に対して、条件付きでNISA又は新NISAの資産をNISA口座で保有可能になりました。
Q&A- Q1
- 出国前に何か手続きが必要ですか?
- A
- 出国日前日までにNISA口座を開設している証券会社に「継続適用届出書」を提出します。尚、帰国後には「帰国届出書」を提出しなければなりません。
- Q2
- 「継続適用届出書」提出した後に、海外に住んでいる間に、新たな投資又は積み立て投資は可能ですか?
- A
- 新NISAを利用した新規の投資はできません。尚、積み立て投資も同様にできません。
- Q3
- どこの証券会社(金融機関)でも、出国したら同様の対応が可能ですか?
- A
- 一般的に各証券会社(金融機関)の対応は様々ですが、あまり協力的ではありません。但し、野村證券/みずほ証券/楽天証券は協力的と言えます。
特に楽天証券は、総合口座/特定口座/NISA口座は継続が可能。そして、日本株式と個人向け国債以外の売却と常任代理人の選任が必要です。以下の書類が必要です。
・出国関連の届出書
・常任代理人契約書
・常任代理人選任届
・本人確認書類
- 常任代理人以外の業務
Ⓐ税務(弊社のグループ税理士)
Ⓑ法律(弊社のパートナー弁護士)
Ⓒ年金/社会保険(弊社のパートナー社会保険労務士)
※国内有価証券の保管や売買に係る決算・元利金・配当の受取などの業務を提供するカストディサービスは行っておりません。
用語集
恒久的施設(PE) | 恒久的施設(Permanent Establishment=PE)とは、支店・工場・その他事業を行う一定の場所や代理人のことをいいます。PEは、「支店PE」「建設PE」「代理人PE」のカテゴリーにわかれます。(例)1.支店を設けずに代理店経由で国内で事業を行っていた場合にその代理店が企業のPEとして認定されるケース。2.子会社経由で親会社が国内で事業を行っていた場合にその子会社が親会社のPEとして認定されたケース。国際課税においては、「PEなければ課税なし」という言葉があります。したがって、PEが日本国内にない場合には、企業が事業を行って獲得した事業所得は日本国内においては課税されないことになります。※但し、日本国内に所有する不動産の譲渡を除く。 |
お問い合わせは
- 電話受付03-5453-6931
海外から +81-3-5453-6931(平日:10:00~18:00)
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